SSサンプル/トリガー

誰かになにかを相談することは、迷惑だと思っていた。
そんなつまらない楽しくない話を聞かせるくらいなら、楽しい話をしたいし、相手の話を聞いていたいと。

こみあげてきたものはすべて一人で抱え込み文字に起こして解消するのが最善だと、筆ばかり進んでいた。


きっかけはなんだったか、覚えていない。
けれど確かに閉鎖的な私の殻を破ってくれた人がいた。


それからの私は少しずつだけれど、自分の些細なことを誰かに話すようになった。
言わないようにしていた愚痴だったり、不安なことだったり。


するとどうだろう、迷惑だと言われるどころか親身になって聞いてくれる。
よく考えてみれば、自分が逆の立場だったら迷惑だなんて思わない。

それをいままで自分に当てはめることができなかった。


「ほんっと、バカだねえ」 


 そう笑うあなたが、誰より私の話を聞いてくれる。
 あなたに出会えてよかった。

TATUMI

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